ヴァイオレット・エヴァーガーデンには素敵なストーリーがいっぱい詰まっています。
この作品の見所は、主人公のヴァイオレットとそのお客様の成長なんです。ヴァイオレットと関わることで、お客様が何かしら気づきを得たり、心のわだかまりを解いたりしていきます。
そして、ヴァイオレット自身もお客様が持っている愛を見て、「愛」がどのようなものかと言うヒントを少しずつ得ていきます。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンの下巻で印象に残っているのが、半神と自動手記人形(オートドールメモリーズ)です。
カルト集団と生贄
シュバリエと言う孤島にある教会にラックスと言う少女がいました。ヴァイオレットと同じくらいの年です。
この協会では、半神という半分人間、半分神と言う存在を祭っていました。
この孤島で大雨に降られたヴァイオレットは教会で雨宿りをします。
そこでラックスと出会います。
ラックスは半神に似ているからと言う理由で、7年間教会に保護されていました。
いえ、保護ではなくカルト集団に監禁されていました。
それは生贄として天に半神の半分神である部分を神に返すためと言う名目で・・・
何気にありそうな話でゾッとします。
ラックスにも生贄となる日が迫っていましたが、ヴァイオレットもこの教会に目をつけられていました。
美しい金色の髪と碧い目が半神にそっくりだと言う事で、教団のターゲットになっていましたが、ラックスが事情を説明し、逃げました。
ヴァイオレットはラックスに逃げるのを助けようとしますが、ラックスは拒否してしまいます。
自分の環境を変える恐怖
自分が住んでいる環境を変えてしまうのがとても怖かったのです。
今までは教団の中で生かされてきたけれど、ずっと外の世界を見ていないから、とても怖い・・・
そう、自分が今いる状況がおかしい、抜け出したほうがいいのではないかと思っていても、新しい見たことの無い世界で生きるのも怖いと言う矛盾した感覚を人は持つものです。
それは、毒親と言う存在がいてあなたに絶対にこの道を歩きなさい、ああしなさい、こうしなさいとずっと言われてきたとしたら、その道から離れるのは怖くなります。
新しい世界も怖い、だからラックスは一度逃げることをやめました。
そして、生贄として捧げられることになりました。
不安だから犠牲者を作り、不安だから犠牲者であり続ける
ラックスが何のために生贄をささげ続けるのかと問うと、
「髪や目の色が普通じゃないからおかしい。そんな存在は迷惑で怖ろしい」
と言う答えが返ってきますが、人間関係あるあるですね。
誰かが、自分と違うから怖くて忌み嫌い、嫌がらせをしたりする。いわゆるいじめもこういう事が原因のひとつだったりしますね。
じゃあ、そのいじめの対象にされた人はどうすればいいんでしょうね。少なくとも、いじめを受け続けていいわけがありません。
その状況から抜け出さなければいけません。
長期にわたっていじめを受けた人は、いじめの無い状況すらも怖いから抜け出せない心理になっています。
でも、やっぱりどこかで助けを求める必要があります。
助けを求めて声を上げなければなりません。
ラックスはヴァイオレットに「助けて!」と声を上げました。
さすがヴァイオレット颯爽と助けに現れます。ラックスが「助けて」の声を上げるのを待っていました。
助けを求めれば助けられる
基本的に自分がその状況から抜け出そうと覚悟したら抜け出せると思っています。
もちろん、恐怖はつきまといます。
求めていたような助けではないかもしれません。
助けてもらってもまたドブの中に落ちてしまうかもしれません。
でも、絶対にあきらめないでください。
助かりますから。
そんなことを感じたヴァイオレット・エヴァーガーデン下巻でした。
ラックス
ラックスはヴァイオレットの働く郵便者で秘書として勤める事になりました。ラックスは外の世界を見、知ることができました。
そして、ヴァイオレットの初のお茶のみ友達となったのです。